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象徴天皇制の意味 [政治と法律]

天皇が所感を述べるという形式で譲位の問題を述べられた。この問題の根底にあるのは、元首としての象徴天皇という法制度の問題であろう。
天皇は国政に関与できないが、国民統合の象徴として位置づけているのが日本国憲法の規定するところである。天皇家には姓はない。天皇は生まれながらにして個人であると当時に公人である。
天皇のお言葉を聞きながら、法律的には実に曖昧な象徴という概念を用いることで、占領下での日本統治を考えた米国の日本研究に基づく日本理解に思いを致さねばならないように思った。
憲法学者を含め日本の法律専門家はこの象徴という法制度として導入された概念を法学的に明確にした人はいないのではないかと思う。
戦前津田左右吉氏が、天皇機関説を説いた問題を想起させる。神格化された天皇制の問題を機関として捉えたために厳しい弾圧を蒙っているが、象徴とは言え、国家元首としての地位は人格を伴った機関であるということもできるだろう。そうした天皇機関説に依拠したのだとも考えられるのであるが、憲法の中で天皇を象徴として位置づけたアメリカの日本研究の深度を改めて考えさせられる。
恐らく皇室を廃し、天皇の戦争責任を問えば、占領下の日本統治に困難と混乱をもたらすと思慮した結果、憲法の中で象徴天皇として天皇を位置づけることで占領政策を遅滞なく進めようとしたのだろうと思うのである。
仮にも日本が中国や米国に対して戦勝国として統治する場合、どのようのに統治すれば、混乱させることなく統治できるかなどを当時の為政者、殊に軍部を含め、官僚の誰一人として考えてもいなかった。言い換えれば、アメリカや中国を深く理解する姿勢もなかったということである。
天皇制に否定的な共産党やその他の機関や組織あるいは研究者も、象徴天皇という制度の意味すら考えているものはいなかった。最も深刻に象徴天皇とは何かを問い続けておられたのが当の天皇ご自身であったというのが今日のお言葉であるように思う。
国家元首を象徴という法律的には不透明な概念で位置づけてきた天皇の位置は、天皇制という点だけ言えば、帝国憲法下の神格化された天皇と紙一重の存在であることを露呈したとも言えよう。その紙一重の間には主権在民という重大な法的保証が潜んでいるのであるが。
歴史的伝統を持つ皇室を戴く限り、日本人は法哲学的に、皇室の問題を含みつつ、この象徴天皇の位置づけを学問的理論的に明確にしなければならないのかもしれない。重たい課題を投げかけているのが今日のお言葉だったように思う。
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